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2    送付嘱託申立書【不起訴事件記録中の供述調書等】
 
 
 
 
 
平成○○年(ワ)第○○号 損害賠償請求事件
原 告  甲 野 花 子
被 告  乙 山 太 郎
 
送付嘱託申立書
 
平成○○年○月○○日
 
○○地方裁判所民事部  御中
                   
原告訴訟代理人弁護士   ○ ○ ○ ○   印
 
1 文書の表示
  被疑者乙山太郎(昭和○○年○月○○日生)に対する○○検察庁平成○○年(検業)第○○号業務上過失傷害被疑事件(不起訴処分)の刑事記録一切。
 
2 嘱託先 
〒○○○−○○○○  ○○市○○町○番○○号
○○地方検察庁 
電話 ○○○○(○○)○○○○ 
 
3 証すべき事実
  本件交通事故の態様
 
4 期日外採用願い
  本件事故の発生日は平成○○年○○月○○日であり,○○警察署から平成○○年○○月○○日に送致番号○○番で○○検察庁に送致され,○○検察庁で平成○○年○○月○○日に不起訴処分とされたもので,刑事事件記録(不起訴事件記録)の取寄が必要である。よって,期日外に採用していただきたい。
 
5 特に提出を強くお願いする理由
  被害者甲野花子(昭和○○年○○年○○日生)は,本件事故の日から○○日間入院し,平成○○年○○月○○日に症状が固定し,自賠責保険において第○級○号の認定を受けたが,脳外傷による高次脳機能障害のために本件事故についての記憶及び説明能力を著しく喪失している。
  他方,被疑者乙山は,被害者甲野の入院中に不起訴処分になっているが,不起訴処分は同被疑者が高齢(当時○○歳)であったことなどの事由も考えられるところ,平成○○年○○月○○日に死亡している。
  そこで,本件事故態様について,被疑者本人から供述を得ることは不可能であり,捜査段階での被疑者本人の供述調書は必要不可欠であって代替性が無い。
  よって,民事訴訟の真相究明と事故態様の把握という公益の必要上,実況見分調書等の外,供述調書等,刑事記録の全部の提出を強く求めていただきたい。
以上
 
 
【備考】《不起訴事件の刑事記録の開示について》
 
1 不起訴記録の開示 (刑事訴訟法第47条ただし書の運用)
 
2 平成12年3月23日
  被害者等に対する不起訴記録開示の新たな方針 
  被害者等に対する不起訴記録の開示について
  (法務省刑事局) http://www.moj.go.jp/PRESS/000323-5.html
 
3 平成16年6月6日新聞報道
  不起訴事件の供述調書の開示について
(注1)
「法務省は,不起訴になった刑事事件の供述調書について,これまで原則非開示としてきた方針を改め,一定の条件を満たした場合は開示するとの見解をまとめ,全国の検察庁に通知した。(毎日新聞・平成16年6月6日)」
(注2)
不起訴事件の供述調書を開示する要件
上記新聞によると,要件は次のとおりである。
(1)民事訴訟の重大な争点に関する直接証拠であること
(2)供述者が死亡,病気で出廷できなかったり,捜査段階と全く異なる主張をしたりしていること
(3)捜査・公判への支障や,プライバシー侵害の恐れがないこと
(4)裁判所から文書送付の要請があること
目撃者の氏名・住所も同様の要件で判断される。
 
津法律事務所: 2004/06/20
 
 
 
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4 追記
 
(1) 法務省のホームページ
    
    民事裁判所からの不起訴事件記録の文書送付嘱託等について
    (法務省) http://www.moj.go.jp/KEIJI/keiji24.html
 
 
(2) 参考資料
 
民事裁判所からの不起訴事件記録の文書送付嘱託等について
 
         法務省刑総第627号(例規)
平成16年 5月 31日
検事 総長 殿
検 事 長 殿
検 事 正 殿(除く,東京)
法務省刑事局長 樋 渡 利 秋
 
民事裁判所からの不起訴事件記録の文書送付嘱託等について(参考送付)
 
標記の件に関し,東京地方検察庁検事正から別紙1のとおり照会があり,別紙2のとおり回答したので,参考のため送付する。
 
 
別紙1
       東地記第2795号
         平成16年5月28日
法務省刑事局長 樋 渡 利 秋 殿
         東京地方検察庁検事正 上 田 康 一 
 
民事裁判所からの不起訴事件記録の文書送付嘱託等について(質疑)
 
 被害者等に対する不起訴事件記録の開示については,平成12年2月4日付け法務省刑総第128号「被害者等に対する不起訴事件記録の開示について」(回答)により,弾力的な運用が行われているところであるが,不起訴事件記録中の供述調書等については,供述人が死亡するなどして代替性がないと認められる場合を除き,閲覧又は謄写を認めるべきではないとされている。しかしながら,近時,民事裁判所から,不起訴事件記録について,供述調書等も含めて,文書送付嘱託がなされる例も多い。また,民事訴訟において事件の目撃者を証人尋問するため,その人定の調査を求められる例もある。これらについては,犯罪被害者等の保護を図るとともに,民事訴訟が適切に行われるようにするため,弾力的な対応が必要であると考えられるところ,上記回答では,どのような場合に代替性がないと認められるのか,また,どのような場合に開示に応じるのが相当か,なお明らかでないので,刑事局の考えを教示願いたい。
 
別紙2
法務省刑総第627号
平成16年5月31日
東京地方検察庁検事正 上 田 康 一 殿
法務省刑事局長 樋 渡 利 秋
 
民事裁判所からの不起訴事件記録の文書送付嘱託等について(回答)
 
 本年5月28日付け東地記第2795号をもって照会のあった標記の件については,別紙のとおり取り扱われたい。
 
別紙
民事裁判所からの不起訴事件記録の文書送付嘱託等について
 
第1 不起訴記録中の供述調書の開示について
1 不起訴事件記録の開示については,刑事訴訟法第47条によって規律され,平成12年2月4日付け法務省刑総第128号「被害者等に対する不起訴記録の開示について」(回答)(以下「平成12年回答」という。)において,弾力的な運用を行うこととしているところである。
ところで,不起訴事件記録中の供述調書については,これを開示すると,捜査・公判に対する支障又は関係者の名誉・プライバシーを侵害するおそれ等がある場合が多いことや,その供述内容を民事訴訟で利用するためには,当該供述者を民事訴訟で証人尋問すれば足り,代替性が認められる場合が多いと考えられることから,平成12年回答においても,供述調書等については,供述人が死亡するなどして代替性がないと認められる場合を除き,閲覧又は謄写を認めるべきではないとしていた。しかしながら,近時,民事裁判所から不起訴事件記録について,供述調書等を含めて文書送付嘱託がなされる例も多い。これについては,開示による弊害を回避しつつも,犯罪被害者等の保護を図るとともに民事訴訟が適切に行われるようにするため,供述調書を開示し得る場合について更に具体的な指針を示し,弾力的な運用を行い得るようにする必要がある。
2 そこで,次に掲げる要件をすべて満たす場合には,不起訴事件記録中の供述調書を開示するのが相当である。
(l) 民事裁判所から,不起訴事件記録中の特定の者の供述調書について文書送付嘱託がなされた場合であること。
供述調書の開示については,一般に捜査・公判への支障又は関係者の名誉・プライバシーを侵害するおそれがあると認められることから,特にその開示の必要性が高い場合である必要があり,民事裁判所からの文書送付嘱託がなされた場合とすべきである。
(2) 当該供述調書の内容が,当該民事訴訟の結論を直接左右する重要な争点に関するものであって,かつ,その争点に関するほぼ唯一の証拠であるなど,その証明に欠くことができない場合であること。
供述調書を開示することが相当と考えられるのは,当該民事訴訟において当該供述調書が必要不可欠な場合であると思われる。そこで,開示すべき供述調書は,第1に,当該民事訴訟の結論を直接左右する重要な争点に関するものである必要がある。「民事訴訟の結論を直接左右する重要な争点」とは,例えば,交差点における交通事故において,当事者双方が青色信号を主張している場合の交差点信号機の信号表示状況等のような場合が考えられる。これに対し,民事訴訟において取り調べられた証人の供述の信用性などは,要証事実に対する間接証拠であって,通常は,「重要な争点」には当たらないものと考えられる。第2に,開示すべき供述調書は,その争点に関するほぼ唯一の証拠であるなど,その証明に欠くことのできない場合である必要がある。その争点に閲し,他に証拠があり,当該供述調書はこれを単に補強するにすぎないようなときは,これに該当しないと思われる。
(3) 供述者が死亡,所在不明,心身の故障若しくは深刻な記憶喪失等により,民事訴訟においてその供述を顕出することができない場合であること,又は当該供述調書の内容が供述者の民事裁判所における証言内容と実質的に相反する場合であること。
供述者が民事訴訟において供述することができる場合には,その供述者の供述調書に代替性が認められるので,これを開示する必要はない。しかし,供述者が死亡,所在不明,心身の故障又は深刻な記憶喪失等により,民事訴訟において,証人尋問又は当事者尋問で供述できない場合には,その供述者の供述調書を利用する必要性が高い。また,一旦,当該供述者を民事訴訟において供述させたものの,当該供述者については刑事事件の捜査において取調べを受け,そこで作成された供述調書には,民事訴訟における供述とは実質的に相反する供述をしている場合には,やはり,その供述調書を利用する必要性が高いと考えられる。そこで,これらの場合には,代替性を欠くものとして取り扱うことが適当と考えられる。 なお,当該供述調書の内容が,「供述者の民事訴訟における証言内容と実質的に相反する場合」については,民事裁判所があらかじめ供述調書の内容を了知しているわけではないことを考えると,供述調書の内容と証言内容とが実質的に相反すると判断するについて相当の理由がある場合で足りると思われる。逆に,供述調書の内容と証言内容とが相反していれば開示されたい等の模索的な理由によるものは,前記相当の理由があることを明らかにしたとは言えないので,その点の検討が十分に行えるよう,民事裁判所に対し,十分な情報の提供を要請することが必要である。
(4)当該供述調書を開示することによって,捜査・公判への具体的な支障又は関係者の生命・身体の安全を侵害するおそれがなく,かつ,関係者の名誉・プライバシーを侵害するおそれがあるとは認められない場合であること。(2)及び(3)に該当する特段の必要性が認められる場合であっても,開示による具体的な支障が生じるおそれがあると認められる場合には,開示は相当ではない。なお,供述調書を開示することにより,今後の他事件における参考人の事情聴取一般に対して抽象的な意味での支障が生じるおそれがあるとしても,捜査・公判への具体的な支障が認められない場合には,原則として,開示して差し支えないと考えられる。
3 文書送付嘱託以外の開示請求への対応
述調書の開示は一般的に慎重に取り扱う必要があることから,原則として民事裁判所からの文書送付嘱託による場合に限定すべきであるので,民事裁判所からの文書送付嘱託によることなく供述調書の開示を求められた場合には,前記第1,2,(2)から(4)までに準ずる事情があり,かつ,真にやむを得ないと認められるときを除き,開示に応じるべきではない。
4 供述調書の開示の留意事項について
  (1)開示の可否判断のための情報収集
検察官は,通常,前記第1,2,(2)及び(3)の要件に関する情報を有していないことから,民事裁判所から文書送付嘱託がなされた場合において,前記第1,2,(2)及び(3)の要件を判断するための具体的な情報が不十分であると認められるときは,民事裁判所に対し,文書送付嘱託に応じるか否かを判断するため,必要な情報の提供を求めることが望ましい。
(2)開示した供述調書の取扱い
民事裁判所の文書送付嘱託に応じて供述調書を開示する場合には,民事訴訟の当事者においても慎重な取扱いが必要である旨を送付書に明記するなど注意喚起した上で送付する。
(3)マスキング
供述調書を開示する場合であっても,一部の記載について,開示することにより関係者の名誉・プライバシーを侵害するおそれがあるなどの支障があるときは,当該部分にマスキングを行うなどの措置を講じる。
(4)その他
捜査中の事件記録又は公判請求した事件の裁判所不提出記録中の供述証拠については,通常,刑事訴訟法第47条の規定により捜査・公判に対する具体的な支障があると考えられ,原則として開示しない扱いとする。
第2 目撃者の特定のための情報の提供について
1 目撃者の特定のための情報の提供の必要性
不起訴事件に関して民事訴訟が提起されている場合において,例えば,交通事故の状況を直接目撃した目撃者(以下「目撃者」という。)の証人尋問を実施することが不可欠であるにもかかわらず,民事裁判所及び訴訟当事者において目撃者の特定に関する情報がなく証人尋問を実施することが困難な場合に,裁判所から検察庁に対し,目撃者の特定のための情報の提供を求められる場合がある。このような場合において,不起訴事件記録中に,当該目撃者の特定に関する情報があり,かつ,民事裁判所から証人尋問のために必要であるとの理由で,調査の嘱託により照会がなされたときは,証人義務が広く一般に課せられており,民事訴訟における真実解明に資することを考慮すると,相当な範囲で調査の嘱託に協力する必要があると考えられる。
2 そこで,次に掲げる要件をすべて満たす場合には,当該刑事事件の目撃者の特定に関する情報のうち,氏名及び連絡先を民事裁判所に回答するのが相当である。
(1)民事裁判所から,目撃者の特定のための情報について調査の嘱託がなされた場合であること。
 (2)目撃者の証言が,当該民事訴訟の結論を直接左右する重要な争点に関するものであって,かつ,
    その争点に関するほぼ唯一の証拠であるなど,その証明に欠くことができない場合であること。
   「重要な争点」の意義については,前記第1,2,(2)と同様である。
(3)目撃者の特定のための括報が,民事裁判所及び当に知られていないこと。
「民事裁判所及び当事者に知られていない」とは,民事訴訟の当事者において,目撃者の存在を把握しているが氏名が不明の場合,目撃者の氏名は判明しているが連絡先が不明の場合,又は目撃者が存在すると認めるに足りる相当の事情があるが,氏名等が不明の場合などがある。
(4)目撃者の特定のための情報を開示することによって,捜査・公判への具体的な支障又は目撃者の生命・身体の安全を侵害するおそれがなく,かつ,関係者の名誉・プライバシーを侵害するおそれがあるとは認められない場合であること。
3 情報提供についての留意事項
検察官は,通常,前記第2,2,(2)及び(3)の要件に関する情報を有していないことから,民事裁判所から調査の嘱託がなされた場合には,前記第2,2,(2)及び(3)の要件を判断するための具体的な事情及びこれに該当する目撃者が存在すると認められる相当な理由が不十分であると認められるときは,民事裁判所に対し,調査の嘱託に応じるか否かを判断するための情報の提供を求めることが望ましい。
なお,目撃者の連絡先とは,原則として,住所を回答すれば足りる。
4 目撃者の情報の取扱い
    目撃者の連絡先等は,本人のプライバシーに属する情報であるので,裁判所に対して回答する場
   合は,民事訴訟の当事者においても慎重な取扱いが必要である旨を回答書に明記するなど注意喚
   起した上で送付する。
 
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津法律事務所: 2004/10/4
 
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(3) 「新たな方針」の運用
 
  平成16年5月31日,法務省は,不起訴事件記録中の供述調書の開示について,「新たな方針」を全国の検察庁に通知し,一定の要件で供述調書が開示されることになりました。 
  平成16年10月,原告代理人をしている民事交通訴訟で,地裁支部のした送付嘱託に対し,地検支部は「被疑者供述調書」を同裁判所に送付しました。「新たな方針(平成16年5月31日付け)」の運用であり,送付嘱託の活用が期待されます。
 
津法律事務所: 2004/12/5

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